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「なんだよ。事前に下調べしてこなかったのかよ」
「下調べはしてきた。それでもわからないことはある。それで、運ちゃん。今回のパーテイには私たちの他にも招待客が来ると聞いていましたが……彼等は先に館へと向かったのですか?」
天草が、片霧を一瞥してから、話を元に戻す。
「はい。他のお客様は、先に館へとお通ししました。お客様といっても片霧様と天草様のお二人以外は、親族です」
運転手は、山道に車を入れた。
「親族というと、霧雨夫妻の三人娘ですか?」
天草が話を勧める。
「そうです。そうです」
運転手は、聞かれたことだけを答える。
片霧の左隣で、天草が、メモ帳に情報を書き留める。
(下調べしてこなかったな。このおっさん)
片霧は、視線を車の外に向けた。
山道は人が歩けるように舗装され、整えられている。
左右には、木々が生い茂り、獣が飛び出しそうな雰囲気であった。
「なるほど……。三姉妹の噂は聞いていましたが、相当な生活振りですね」
天草が、顔をあからさまにしかめた。
「私も詳しいことはわかりませんが、三人全員が借金塗れというのは関心しません。あ……私が言ったことは御内密に」
運転手は、謳歌山を少し昇った
ところにある駐車場に車を止める。
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