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胆振先生を見たら満足なのか、うっすらたたえていた笑みをしまい込んで教室へ帰っていく隣の同級生。渡り廊下に響くのは、男子たちの下品な囃しと女子たちの黄色い声。一人の女子が甲高い声を出しながら指差す先には、男から見てもなかなか綺麗な顔をした一人の教師、英語教諭の影宗先生。まったく、見た目だけなら相も変わらず女受けが良くてたいへん妬ましい。中身最低のくせに。
俺も教室に帰るか…そう思い手すりから離れようとしたちょうどその時、男子たちの歓声があがった。ほんの少し興味がわいて、男子たちの目線の先を追ってみる、と。
「ひゅー、マジ巨乳!」
「歩くと揺れるんじゃね?よく見て!」
「…。」
あまりにも下品!すぎる!そういうのはもっと人がいないところでこっそり話してほしい!全く興味がない訳じゃない、ただ、大っぴらに話題にされると、女子たちから「男子=お下劣」というレッテルを貼られてしまうのが嫌なんだ。特に女子リーダーみたいなやつは男子を一括にまとめすぎの傾向があると思う!一口に男子と言っても、お下劣男子、エロ男爵、チャラ男、健全少年、草食系、根暗オタク、童貞、いろいろいるだろ!俺がどこに分類されるかなんて考えたくはないが。
話題に上がっている女子はこっちに気付いて顔を上げた――まさか、こんな会話してるなんて思っていないんだろう、軽く会釈をして校門の方へ歩いていった。
「顔もレベル高くね?」
「あれ、絶対俺と目が合った!」
「バカじゃねぇの?俺だし!」
俺は、そこの三人まとめてバカだと思う。
「神月ー!こっち!」
「ねぇ遡羅兄さま、さっき渡り廊下から殿方に見られていたのですが…私何かおかしいですか?」
「はは、とりあえずそいつら殴りに行こうか!」
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