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朝から騒がしく走り回る職員ども。俺――牡丹もその内の一人。とりあえず犯人はぶっ殺してやろうと思う。
「牡丹先生、こっちはいません」
「こっちもいねぇ…クッソ、ふざけんなよ…!」
「お願いですから体罰はやめてくださいね」
久慈先生は生徒に甘い。そりゃもうキャラメルより甘い。生徒に甘くした分の皺寄せは全部職員に行くんだぞ。あーあー保健医サマはそこんとこ一線引かれてるからイイデスネー。くそが。
だが、久慈先生が何と言おうが俺は殴る。女だろうと殴る。早朝からこんな馬鹿げたことに体力を使わせた落とし前はつけてもらわないと、やり場の無い怒りを授業にぶつけかねない。
「ニャー」
「いたっ!そこだ!」
「シャー!!」
声のした方、とある生徒の部屋の前まで駆けつけて、その声の主をつまみ上げる。まだ子どもとはいえ…猫を寮に持ち込むなんて。
「起きろ朱華ああぁぁぁ!!!」
「うっわわわわ!?」
この子猫の行動からして、犯人は絶対こいつだ。
「この猫は何だ!!生き物持ち込み禁止っつってんだろ!!」
「ぼ、僕知りませ~ん…」
「ほう、知らないか。じゃあこの猫がどうなってもお前は何も言えないな?」
「あああああもうすみませんでした!僕です!」
というか、部屋に充満するキャットフードの臭いでもう分かる。ご丁寧にベッドの影にトイレを隠してやがる。
「だって…寮のそばに捨てられてたんですもん…」
「そんなもんほっとけ。だいたい、面倒も見きれないくせに拾うなよ」
「面倒は見てますよ!餌もトイレも…」
「こいつ、食堂の配膳台でうんこしてたぞ」
「すみません」
朱華には拳骨一発、猫を連れ込んでると知ってて黙ってた遡羅と鉢屋にも一発ずつくれてやって、一応は気が済んだ。
さて、この猫はどうしてくれよう…。
「せ…先生…そんな獲物を見る目でハチを見ないで…」
「ハチ?」
「八割れ模様だからハチです。あと弥治郎っぽいんで」
「…ならこいつは教材だな」
「教…材…!?まさか、解剖…」
「さぁな」
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