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草壁があっけに取られていると、さらに続けた。
「私も緋月一族の人間です。我が家にまつわる忌まわしい歴史については幼い頃より聞いて育ちました。私は緋月一族に生まれた者として、今回の事件に責任を感じております。私も飛騨に行き、魔物と闘います」
草壁はやっと、事情を飲み込めた。
「そうして頂けると助かります」
「鏡花先生からあなたが迎えに来ると連絡を受けた時から覚悟はできております。それにしても恐ろしい魔物ですね。先手を打って、魔物退治の切り札である私を殺しに来るなんて。だから、鏡花先生の言い付け通り、左腕から採血をして、ナイフにそれを塗ってお二人を待っていたのです。それから、先生から草壁さんに伝えてくれと言われた事があります。伯父様が魔物と相討ちで亡くなられたそうです」
「えっ」
草壁は言葉を失った。
緋月玲子は上司に、恩師の危篤を理由に急遽、休暇を取ると、取るものもとりあえず草壁と東海道本線の汽車に飛び乗った。
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