飛騨妖魔変

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「お前はこの仕事は日が浅いから知らねえのも無理の無いことだがな、こうやって工事をしていると稀にお宝を掘り当てることがある。刀や小判だのいろいろな物がな。それでもって、それを骨董屋に売ると高値に売れることがある。これは何も悪いことじゃねえ。みんながやっている事だ。いわば、役得、御祝儀だと思いねえ。このトンネルの上に何があるか、お前忘れたか?」 「城跡だろ?」 「にぶい野郎だな!と言うことは、埋蔵金かも知れねえって事よ」 「あ、そうか!」 「幸い、この事は俺達3人しか知らねえ。俺達さえ黙ってりゃ、外に漏れる話じゃねえ。お前、所長に報告したところで俺達の手元には何も残らねえ。それでいいか?」 「そりゃ、嫌だ!」 男は首を振った。 「じゃ、この俺にまかせろ。いいな、儲けは山分けだ」 そう言うと、先輩格の作業員は石の箱の蓋に手をかけた。
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