第一章

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 剣先だけでは剣身が振れることで衝撃を吸収してしまい、根本に当てるだけでは十分な衝撃が伝わる前に手から弾いてしまい、転ばせることは出来ない。  明人からすればその理由のためだけに行った三連射だったのだが、全く気負う様子も見せず、また、照準を定めるまでの躊躇もほとんどないままに射出された弾丸の的中精度は、流石としか言いようがない。  しかし。味方として頼もしかった技術は、敵対した今となっては脅威となる。 「……あんな簡単に出来るのかよ」  立ち上がった葉月は、呟きに僅かな感嘆に滲ませながら明人を睨み付けた。 「ふっふっふっー、簡単に出来ちゃうのよ。ほら、俺、これでも絶対正義員でも立場高いし? それなりに強いんだぜ。葉月ちゃんとは違って、ね」  黄色い少女達の下へと駆ける明人がちらりと後ろを振り向いた。一瞬にも満たない間交わった視線の向こう、冷笑を浮かべる瞳を見て、葉月は思わず足を止めてしまう。 「おまたせしましたー」  そんな葉月を置き去りにして、明人と勇次郎が遂に少女達の下へと辿り着いてしまった。  明人は迷いのない動作で黄色い少女の前に膝をつき、頭を垂れた。その後ろでは勇次郎も明人に倣い膝をついている。  湿気を孕んだ風が明人の長い髪を弄ぶ。さらりと流れた金糸の下、唯一覗く口元が感情を無くした。 「金糸雀明人、極致正義員養成学校及び極致正義自衛軍特殊戦闘部隊潜入任務を終えました。ただ今より、絶対正義戦闘軍の配下に戻ります」
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