第二章

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「どうぞ」  許可を出せば、ゆっくりと開かれるドア。 「カヲリさん」 「……勇太郎君」  その先にいた少年に見られぬよう、カヲリは即座に歪みを正した。 「あいはどうなんですか?」  言いながら、勇太郎は静かにベッドへと近寄る。その歩みは普段の勇太郎からは考えられないほど慎重で、まるで、少しでも足音をたてれば、ベッドに横たわるあいが崩れてしまうとでも思っているかのようだ。 「左肩に銃創が出来ているけど、敵が実弾ではなく、物理打撃系エネルギー弾を使用したのが幸いだったわね。強い衝撃と痛覚によるショックのせいで意識は失ったみたいだけど、不正裂創状ではないし、そこまで酷い傷ではないわ」 「銃創……エネルギー弾でも傷が出来るほどの攻撃だった、って事ですよね」 「……ええ、そうね」  答えながら、カヲリは内心舌打ちをした。余計なことを言ってしまったかもしれない。現在、ベッドを挟んで目の前に立つ少年は正常ではない。この短時間でその身に降り掛かった災難を回顧してみれば、精神的に不安定になっている事が十分に解るはずだ。 「痕とか、残るんですか」  僅かに震えた問い掛けに、カヲリは気付かれないようそっと息を吐いた。
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