第一章

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*  黒いフェザーストールがばさりと風に靡き、存在を主張する。 「さっすがウルティマレッド様。咄嗟にガードするとかスゴいねー、尊敬しちゃう」  吹き荒れる熱風に目を細め、明人は口元を歪めた。 「でもでも、やっぱり尊敬なんかしてやんないもんねー! せめてさ、葉月ちゃんくらいはやっつけておきたかったんだけどなぁー、もうっ! 勇太郎のいじわる!」  ふざけた口調と共に不敵な笑みが消え去り、いつもの明人が現れた。  いつも通りにしか見えない表情で、しぐさで、明人は葉月を仕留め損なった憤慨を勇太郎にぶつける。 「な、んだよ……それ……」  掠れた疑問が葉月の口唇からこぼれ落ちる。  目の前に広がるのは、燃え盛る炎。突如として顕現した炎の壁が弾丸を弾いて葉月の命を救い、明人を拒んでいた。そして、 「イエロー……?」  炎壁を作り出した張本人である勇太郎は、炎壁を維持したまま呆然としていた。  二メートル以上の高さの炎壁から軽快な足取りで離れながら、明人はにっこりと笑って問うた。 「え、イエローってだーれ?」 「……誰って、お前しかいないだろ。ウルティマイエローはお前、だろ?」 「いやいや、違いますけどー?」  勇太郎の震えた問いを、明人は当たり前のように否定した。  そのまま立ち尽くしているわけにもいかず、葉月も明人と同じように炎壁から離れた。  開けた視界が明人を映す。  明人は、見慣れた笑顔を浮かべていた。 「俺、絶対正義の諜報員だからね? 極致正義のウルティマイエローなんかじゃないよー?」
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