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「…………っ!」
勇太郎と葉月、そして離れた場所で様子を窺っていた零士と璃理の四人は言葉を失う。
喋り手が黙り込めば、滑稽な程に静寂が場を支配した。黄色い少女達も興味があるのか、先程から大人しく成り行きを見守っている。
「…………」
勇太郎は揺れた瞳で明人を見詰める。何度か逡巡の素振りを見せた後、意を決して口を開いた。
「それ、マジで言ってんのか? いつもみたいにさ、冗談とか……」
「真面目も真面目、大真面目ですけどー?」
「……マジかよ」
へらっと笑いながら即答され、勇太郎は唇を噛んだ。それでも、俯きそうになる顔を必死に上げて明人を見据える。
「イエロー……いや、明人。バカみたいかも知んねーけどさ、俺、やっぱり信じられねぇよ。そうやってはっきり言われてもさ、どうしてもお前は俺の仲間、そう思っちまうんだ……なぁ、明人。俺と一緒に帰ろうぜ」
「え、お断りします」
間髪入れずに誘いを断ると、明人は勇太郎に向けて手を伸ばした。
その手中には、拳銃が収められている。冷たい銃口で狙いを定め、明人は場の雰囲気とは正反対の明るい笑顔を浮かべた。
「ほら、俺ってエンターテイナーだから、さ。面白おかしく、イエローって役を演じられたでしょ? マンネリ化しちゃうしさ、演じ切った以上、もうその役は必要ないんだよ」
屈託なく笑いながら、明人は冷えた引き金を引いた。
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