第二章

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「今日の会議では、話さなきゃならないことがたくさんあるわ。あいちゃんの復帰を喜ぶ気持ちは分かるけど、まずは会議を進めちゃいましょう」  やや強引とも取れる語調で全員を纏めると、カヲリは率先して自席に着いた。 「……それでは、まず、私とあいちゃんから話があります」  全員が着席したことを確認し、真剣な面持ちで切り出したカヲリ。その声が僅かに震えていたことに、何人が気が付いたのだろうか。  ――……一体、なんなんだよ。  カヲリの動揺を察知した葉月は、その話の内容に警戒する。  そして。全員の視線を一身に集めたカヲリは、そっと深呼吸をしてから喋り出す。 「話というのは、あいちゃんの家――極致正義理事会の一角を担う桃園家についてなの」 「……桃園の?」  思わぬ方向の話に、零士が思わずといった風に声を漏らした。  カヲリの切り出しに対する反応は、二つに別れていた。  零士、璃理、葉月の三人は疑問に眉を寄せ、残りの勇太郎、あいは小揺るぎすらしない。それどころか、 「桃園家には、現在、当主であるお父さんと私しかいないの」  あいは、カヲリの話を引き継いでみせた。元々二人からの話と言われていた為、また話の内容も加わり不自然ではないが、如何せん先が読めない。 「……あい」 「大丈夫だよ、勇太郎。もう全部話すって決めたから」  愁眉を寄せて名を呼ぶ勇太郎を、少しだけ深くした笑みで牽制する。 「…………」  あいの発する雰囲気から、随分と昔に感じたことのある嫌な感覚が伝播する。 「…………」  動揺を押し隠すように、葉月は膝の上で握る拳に力を込めた。
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