第一章

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 ゆらり、と少年の炎と同じ色をした髪が風に揺れる。 「それでは、そこにいる……ウルティマレッドを、足止めすればいいのですね」 「うん、お願い。普段の勇太郎ならちょっと荷が重いかもだけど、今は大丈夫でしょ。思いっきり動揺してるし、それに何より……ね」  言葉を切ると、明人は勇太郎へと視線を向けた。 「……なんだよ?」  意味深長な言葉と視線に戸惑い、勇太郎は眉を寄せる。 「ふふっ、気付かないのー? 勇太郎って案外薄情だねぇ」  辛辣な言葉とは正反対の柔らかい笑みを浮かべ、明人は少年へ視線を戻した。  最後にもう一度、わざとらしくちらりと勇太郎を見てから、明人は少年に笑いかける。 「大丈夫。あのへたれはまともになんか戦えないよ、勇次郎」 「え……ゆう、じろう?」  その名前を聞いて、勇太郎は動揺を露にした。驚愕に目を見開き、すぐに泣きそうに顔を歪めて明人と少年――勇次郎の顔へ交互に視線を向ける。 「気安く俺の名前を呼ぶな」  勇次郎は勇太郎に向かって心底不愉快そうに吐き捨てると、剣の柄へと手を伸ばした。 「ウルティマレッドの足止めは自分にお任せください、明人様。さあ、早く幹部様方の下へ」 「勇次郎、ありがと。さっすが俺の腹心の部下だねっ!」  鞘から抜く勢いそのまま、勇次郎は剣を降り下ろした。 「明人様の邪魔はさせない……!」  磨き抜かれた剣身が空を切り裂き、明人と勇太郎を隔てる。
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