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「えぇ~?今年の夏休みもおじいちゃんの家に行くのぉ!?」
夏休み前日。
山盛りの宿題と、あまりよろしくない成績表と、夏休みへの膨らんだ期待を持ち帰った僕。
1ヶ月半の夏休みは長いようで短い。
ラジオ体操はダルいけど、この前買ったばかりのゲームをクリアしようとか、小学校のプールへ行こうとか、色々ワクワクしていたところだったのに……。
今年も母方の祖父母の家に帰省するらしい。
「そうよ。だってこっちは暑いじゃない。幸人(ユキヒト)だって、涼しいおじいちゃん家の方が宿題はかどるでしょ?」
「でもあそこ、ゲームできないじゃん……」
「何言ってるの!夏休みにぐーたらするなんて許さないからね。ゲームばっかりしてないで、たまには家の手伝いもしなさい」
「ええ~!?」
小学4年生の僕の辞書に”避暑”なんて言葉は当然なくて。
避暑だろうがなんだろうが、都会の夏も、田舎の夏も、僕にとっては暑いものは暑いのだ。
ゲームもなければプールもなくて、遊んでくれる友達もいない。
そんなところに、誰が好き好んで行きたいと言うだろうか。
「明後日には出るからね。着替えと宿題、忘れずに用意しときなさいよ」
「はぁーい………」
今年も、憂鬱な夏休みがやってくる。
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