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たったそれだけの金で、まともな生活が出来るわけが無い。飯の大半は、俺が作る具があまり入っていない味噌汁を、ご飯にぶっかけるだけの“ねこまんま”だ。
それを三人で食べている光景が、家に帰ってきてから三時間後の居間にあった。
我が家に団欒なんて無い。それは食事中も例外じゃなく、親父はブラウン管テレビで野球中継を見ながらねこまんまをかきこんでいる。
俺と加奈は五分程で完食し、すぐに子供部屋に戻る。ふすまを閉め、二人だけの時間になったとき、加奈から「今日もおいしかった」という言葉をもらった。
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それから二人で一緒に風呂に入り、部屋に戻ったら布団を敷いて、「今日は怒鳴られなかったね」なんて小声で話していた。
夜九時、寝る時間になったので、電気を消す。居間からは野球中継の音がまだ聞こえる。
布団に入ると、加奈がもぞもぞと動いて、俺の布団に入ってきた。
「お兄ちゃん......」
「ん?眠れないのか?」
「ううん......お兄ちゃんに言いたいことがあるの」
劇の事か?なんて思っていたが、加奈の口から出たのは、予想外の言葉だった。
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