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参戦
いつもは輝いている月も、今日はろくに見えない真っ暗な夜。
部活動はどこもやっておらず、校舎には一つも明かりはなかった。というのも、いつもは夜9時まで明るいのだが、今日は入学式の前日のため、特別に部活動はどこも休みだからだ。
そんな、闇に包まれそうな、真っ暗な学校の中に1人だけ男が立っていた。
うす汚い校舎の前に、並木はただただ1人で立っていた。
ただ静かに、ぼー、と立っていた。
あの日から何年経っただろうか、長い道だったが、ついにこのときが来たのだ。計画も完璧、メンバーも面白いやつらが揃っている。
並木 良輔はすべてを覚悟した。
(どうなるのだろう、全く結末は僕でもわからない。)
そんな迷いもあったが、ここまで来たのだからやるしかない。彼は校舎の玄関へと、左足から歩き始めた。
右手に持っているあの写真は、少しひんやりしていた。
明日が楽しみだった。それはそうだ、長年の夢が叶うのだからしょうがない。
並木は、生徒たちが置いている下駄箱の見えない所に、そっと靴を置きそのままゆっくりと階段を上っていった。
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