参戦

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翌日の朝8時、体育館や運動場は少し騒がしかった。 いろんな部活が校舎の周りをランニングしている。 どれがどの部活動か、わからないぐらい、体育系の部活動は全学年、男女関係なく大勢いた。 特に足の速い原野は、陸上部だが、原野を追いかけるように走る中田はテニス部だ。テニスも体力が必要となるスポーツだということは、並木も知っていた。 二階の美術室の窓から彼は、それをじっと見て、呟く。 「みんなみんな生きているんだ。 友達なんだー。」 そう言ったあと、並木は少しため息をつき、黒板の横の時計を見た。 【平成13年 卒業生徒より】 じっとそれを見たあと、ゆっくりと部屋を出た。美術室の鍵は閉まらなかったのでポケットに入れると、写真に少し当たった。それは 嫌だったが、図書室に向かうため、また歩き始めた。 そのとき 「教職員の方々は、至急、体育館に移動して下さい。繰り返します…」 教頭先生の声だった。いつも通り息が荒い。廊下を折り返し、生徒には見られぬよう、体育館に向かった。 入学式が普通通り済んで良かったのか、校長先生は満面の笑みで座席に着いた。新任教職員の説明が、時間の都合上省かれたのは予定通りだった。 省かせたのは、自分の仕組み通りだったからだ。 彼は2年2組を受け持った。ごく普通のクラスらしいが、並木は2組の秘密を前持って知っていた。職員室での各教職員の説明が終わり、右手に握っているクラス名簿の紙をパラパラとめくって見ていると、ただ面白かった。頭に情景が浮かんでいた。 「ゲームの始まりだ。」 彼は職員室を出る寸前に立ち止まり、ぽつりとそう言って、自身満々に職員室を出た。 並木は2年生のクラスが並ぶ廊下をすたすた歩いた。 緊張は少ししかしなかった。 ただ、そのときは、 胸がざわざわしていたのだ。 不気味な顔をして、少しにやけた。自分で考えたシナリオがかなり面白そうだったらしい。 このゲームの主催者は、並木。 プレーヤーは、生徒たち。 悪夢は、ここから起きたのだった。
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