むかし、むかし、あったとさ

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年頃になると、器量が良かったもので、あっちこっちから見合いの話が来ました。やがて、三人の婿さん候補が現れました。 「あたしは、貧乏は嫌よ!あたしと結婚したかったら、貴男はこの世で一番大きなダイヤモンドを持って来て頂戴!」 次の男には、 「あたしと結婚したかったら、この世で一番大きくて立派な屋敷を用意して頂戴!」 三人目の男には、 「あたしと結婚したかったら、アウディの世界に限定300台の3000万の自動車が欲しいのよ!」 と無理難題を言いました。三人はあきれてあきらめました。娘は言いました。 「あたしの夢は、新婚旅行は月に行くことよ!それが叶えられない男性とは結婚できないわ!」 お爺さんとお婆さんは顔を見合わせて、 「私達の育て方が間違っていたようだ!年寄りっ子は三文安いと言うけれど、三文どころじゃなかったな!」 娘の意に叶う男性はいつまで待っても現れませんでした。やがて、娘は行かず後家になり、月には行けませんでしたが、月のものは行ってしまいました。おしまい
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