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静寂。
それは夜中の城内を支配していた。
しかし、本来であればそれはあり得ないことなのだ。
普段なら警備の騎士が城内を常に巡回しているはずだ。
なのに、部屋の外には人の気配がない。
そういうのを含めて、静寂なのだ。
異様だ。
妙な焦燥感に襲われたアリアス・シュウベルハイム・グラナルドは、ベッドからのそのそと這い出ると、頭もとにおかれたランプに手を伸ばす。
カチリ。
ランプに取り付けられたつまみを捻ると、ランプの中にある、子供の握りこぶしほどの大きさの石が優しい明りで部屋を小さくともす。
アリアスはふと壁に目をやった。
そこには剣が掛けてある。
豪勢な装飾のされたその剣は、決して実戦向けではないが、護身には充分だ。
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