3409年:ハイデ

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「ねえ、なんであと3日くらいなの?」 宿をとりあえず1日分とり、それぞれの部屋に少なくはあるが、荷物を置いて合流した所での一言だった。 自分の服などを整理しながらも、先ほどのジョーとセイルのやりとりが気になり、好奇心に負けた一言でもある。 それを聞いたセイルは数秒、アリスの顔を見ていたが、アリスが視線を逸らさないのに苦笑した。 「・・・そうですね。 とりあえず、歩きながら話しましょう」 そう言って歩き始めるセイルの隣をアリスはついていき、急かす意図で眼を見つめた。 「・・・正直、あなたに話すことでもないとは思うのですが。 ああ、睨まなくても大丈夫ですよ。 ちゃんと言いますから。」 確認するように横目でアリスを確認するが、はぐらかすつもりかと、珍しく静かに目力を発揮する様子に、慌てて宥める言葉をかける。 仕切り直しに咳払いし、セイルは続きを語り出した。 「私がジョーと旅を始めてから、大体3年になります。 その中で、彼が一番楽しそうなのは、昔の知り合いに会った時なんです。 2週間前も、昔一緒に旅をしていた仲間のことを楽しそうに話してくれました。 なんでも、その子が5歳くらいの頃に全滅した集落で見つけたそうです。 仲間と一緒に、親代わり、兄弟代わりに育てたらしく、ジョーは20年振りに会えるのを楽しみにしていました。 その少女が・・・」 「まさか、お母さんってこと? ・・・でも、歳がどう考えても合わないじゃない」
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