1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ギルドに入ると、アリスは何時もたくさんの視線に晒される。
若い少女の冒険者は珍しいのだ。
しかし、今回に限ってはその限りでなかった。
ギルドに居る冒険者は、既に他のものに視線を奪われていた為だ。
冒険者のような風貌の割に良い身なりをした男―――恐らくギルド長だろう。が、見覚えのある人物の前で土下座している。
その前に立つのは青い長髪の青年でアリスの隣に居る青年とほぼおなじ容姿をしている―――要はジョーだ、信じたくは無いが。
「まあ、今回は受けてやる。
タイミングがよかったな。
但し、金輪際俺に手間掛けさせんなよ」
内容とは裏腹に、抑揚がまったく無い最後の言葉と同時に、顔を上げたギルド長の頭を踏みつけて元の状態に力ずくで戻した。
そして、唖然とするアリス達の方へ向かってきた。
「ちょっと出掛けて来る。
帰ってきたら、明日の朝にはここ出るからな」
そういうと、いつの間にか肩に止まっている光り輝く鳥を手で握り潰し足元に魔法陣を展開させた。
「転移」
ジョーが呟くと、魔法陣が輝きその姿が掻き消えた。
残されたアリスとセイルに、ギルド中が注目している。
「3日じゃなくて、1日だったわね・・・」
と、呆然と呟くアリスに向かって、セイルは困ったように頬を掻きつつ
「とりあえず、帰りましょうか」
と言った。
最初のコメントを投稿しよう!