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「……あ、ありがとうございました!」
「礼なんざいい、当然の事なんだからよ。次は……アイシス」
「は、はい!!」
頭を下げる女子生徒に素っ気なく応えると次の生徒の名前を呼ぶゼロ、女子生徒は両手でディスクを持つと微笑みながらゼロを見た。
次の生徒も同様にディスクを受け取り、次々に名前が呼ばれアリスの番がやってきた。
「ほれ」
「……………」
足に机を乗せているとんでもない教官にありがとうと言いたくなかったアリス。
「ほれ、どうした?いらないのか?」
「…………ううっ、ありがとう……」
言葉を振り絞って礼を言うと、ゼロはため息をつきアリスを見た。
「礼なんざいいって言ってんだろ、人の話し聞いてたのか?」
「くっ……机の上に足を乗せて遂には煙草まで吸い始めた最低教官にため息つかれた」
「はい、次にティア」
涙目で睨み付けながらわなわなと震えているアリスを気にする様子もなく、ゼロは次にティアを呼んだ。
「ほれ」
「ありがとうございます先生」
「ったく……仕事だから当然だってのに律義だなお前も」
ぺこりと頭を下げるティアにゼロは呆れたように言うとディスクを渡した。
ディスクを受け取りアリスと共に席に戻ろうとしたティアを見て、ゼロは思い出したように口を開く。
「ああ……ティア」
「……はい」
表情を変える事なく振り返ったティアに、ゼロは笑みを浮かべてこう問いかけた。
「お前……何の為にこの学園に通ってる?」
その言葉を聞いた瞬間、一瞬ティアは目を見開いた。
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