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「またクリア出来なかったな」
「す、すいません……」
煙草に火をつけて口を開いたゼロにイルファは表情を暗くさせて頭を下げた。
「せっかく先生からアドバイスしてもらってるのに……」
「お前はもう訓練を止めろ」
「えっ?……いえ!お願いします!もう少しだけ!」
突然のゼロの言葉に顔を上げて必死に迫ってくるイルファ。
ゼロはため息をつくとイルファの頭をポンと叩く。
「勘違いすんな、お前が放課後自主的にしている訓練の事だ」
「えっ……何でそれを」
「動きを見てればそれぐらい分かる、お前が実戦訓練を続けたいなら継続してやる。
でもな、人には向き不向きがある……お前はどっちかといえばヒーラーとかに向いてる、お前が良かったらそっちの訓練も別に頼んでおいてやる。
まだ決めつけるには早いがお前はまだ若い、あんまり無理すんな」
そう言い残して去って行ったゼロに頭を下げるイルファ、ちゃんと見ていてくれた事が嬉しくて言葉を出すと泣きそうだった。
何とかゼロが去るまでは我慢出来たが、姿が見えなくなったら涙が頬を伝って流れた。
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