8968人が本棚に入れています
本棚に追加
/595ページ
あれから数日経過したアートフォン学園のグランド。
「はぁ……はぁ……」
「はい、もういいぞ下がれ」
「ま、待って!あと少しだけ!」
またしても訓練をクリア出来なかったアリスは悔しそうに唇を噛み締めるとゼロに向かって叫んだ。
恐らく今日辺りには魔法管理局のメンバーが選ばれる。
まだクリア出来ていないのに、このまま終わったら……。
「いいから下がれ、今日は魔法管理局に生徒を連れてかないとならん、訓練は終わりだ」
「…………はい」
ゼロの言葉を聞いて下を向いたアリス、その目には涙が浮かんでいた。
そんなアリスを知ってか知らずか、ゼロは他の生徒達を見つめた。
「よし、全員集まれこれから魔法管理局の特殊部隊『A'S』のメンバーを発表する。
全生徒を見たが上級生からじゃなく一年から選んだからこの場で言うわ」
ざわざわと騒ぎ始める生徒達、それを無視してゼロは話しを続ける。
「選ばれて嫌な奴はその場で申し出ろ、じゃあ発表するティア=テスタロッサ」
「は、はい!」
「おぉ、やっぱりティアさんか……」
「一人だけレベル4だもんね」
名前を呼ばれて一歩前に進み出たティア、周りの生徒達からも納得といったように言葉が漏れる。
ティアの名前を聞いてアリスは目を閉じると、一度深呼吸して顔を上げた。
「おめでとうティア、頑張ってね」
ごめんなさい、お父さんお母さん。
今回は駄目だった、でも大事な友達が代わりに選ばれたから良かった。
悔しいけど心の底から祝福するアリス、そんなアリスの笑顔を見るとティアは下を向くと何かを考えた後顔を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!