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皐月と寮のロビーに居れば、日比谷さんがエレベーターから降りてきた。
おれたちを見付けるなり、手を振りながら寄ってくる。
「こんにちは」
「こんにちはっていう。美味しいケーキ貰ったんだけど、食べる?」
笑いながらケーキの入った箱を持ち上げる。
おれが返事するよりも早く皐月が手を上へ挙げながら立ち上がった。
「はいはい!食うっそこのケーキ好きなのだからね!」
日比谷さんは笑って「勿論」と、おれら2人を寮長室へと入れてくれた。
おれはテーブルの前。
皐月は日比谷さんのベットへ飛び込む。
少し待てば、日比谷さんは苺のショートケーキの乗ったお皿を持ってきた。
「いただきます」
口へ運ぶと、甘過ぎない生クリームとふわふわの生地。そして苺の甘酸っぱい美味しさがいっぱいに広がる。
すごく、美味しい。
無言で食べ進めていれば、ふと、前からの視線が気になる。
ちらりと見れば、日比谷さんが笑顔でおれを見ていた。
フォークを口に入れたまま、首を傾げる。
「ふふっ、可愛いねっていう」
手をテーブルについて、おれの方へと身を乗り出してくる。
顎をつかまれ、上へ向かされたと思えば。
ペロリと日比谷さんに舐められた。
「健先輩グッジョォォォブ!」
目を丸くしているであろうおれは、舐められたところを手で押さえる。
なんで、舐められた…?
日比谷さんは丁度、おれを舐めたところ辺りを指でつつく。
「生クリーム、ついてたっていう」
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