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それから、押し倒してきた日比谷さんを申し訳ないが蹴飛ばし、これ以上を阻止することに成功。
おまけに、助けてくれなかった皐月の頭を叩いておいた。
日比谷さんのせいで、口の周りがベトベトだ。
ティッシュで拭き取りながら、ため息をつく。
「美味しかったよ、直紀くん」
満面の笑みでそう言われて、蹴ってしまった罪悪感からか何も言えなかった。
まあ、日比谷さんのことを許そうとは今は思えないけれど。
もうケーキの誘惑に負けて日比谷さんの部屋に行くのは止めようかな。
「めしうまありがとうございましたぁっ」
「皐月うるさい」
「バギュン」
部屋の中を転がりながらケータイを高速で弄る皐月を見ながら、空になった食器をキッチンへ運ぶ。
ご馳走になったのは事実なので、このぐらいはしておかなければ。
「皐月も喜んでるし…またしよっかっていう!」
「もうしませんからね」
後ろでテーブルをバンバンと叩きながら頬を膨らます日比谷さん。
それを皐月がまた撮ったらしく、日比谷さんにケータイを奪われていた。
頭を押さえ込まれてジタバタする皐月は、いつも以上に子供っぽい。
2人はどういう繋がりなのかよく知らないけれど、仲が良いんだな。
「あっ、この直紀くん可愛いっていう。僕にも頂戴」
「あっ、ちょ、勝手に!いくら出す?」
「皐月!」
「チュドン」
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