わたあめふわふわ【犬日々】

2/3
前へ
/27ページ
次へ
「なっおーきくん!あっそびーましょっていう」 やけにテンションの高い日比谷さんに呼びとれられた。 なかば強引に引っ張られ、日比谷さんの部屋に連れ込まれる。 「これ、なんですか?」 布を被った何かを指差せば、日比谷さんは笑う。 「ふっふー!見てっていう」 勢いよく取り払った布の下にあったのは、夏休みの夏祭りでみた機械。 甘くて、ふわふわの、わたあめを作る機械だ。 「どうしたんですか?これ」 多分、おれの目は輝いている。 あの日からわたあめが大好きになった。 今まで知らなかったのが悔しい。 人生損してたね。 「直紀くんがわたあめ好きっていうのを噂で聞いたからっていう」 それで買ってしまう金持ちって怖い。 「つくろっか」 「はい」 砂糖を入れて、割り箸に巻いていく。 日比谷さんが鼻唄を歌いながら、作ってくれ、おれに手渡した。 「はーい、召し上がれ」 ぱくりと口に含めば、甘く広がるわたあめの味。 これだよ、これ。 また食べたいって思っていんだ。 「美味しいです」 「それ食べ終わったら、直紀くんも作ってみる?」 「やってみたいです」 興味ある。 ぺろりと日比谷さんから貰ったわたあめを食べ終える。 ワクワクしながら、割り箸を手に取りわたあめを作り始めた。 最初は順調に巻けた。 中盤に差し掛かれば、少しずつ歪になっていってしまう。 意外と難しいな。 手間取っていれば、日比谷さんは何を思ったか 「砂糖えーい!」 砂糖を追加してきた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加