0人が本棚に入れています
本棚に追加
この場にいた者達は、全ての動きが止まった
シュタッ!
「えっ?」
突然何かが着地した音が聞こえると、庵は後ろに気配を感じた
「さっきの声は君か、ノワール…」
ナゴミは低い声でそう言い、庵の腕を掴み引き寄せた
庵が振り返ると、庵が立っていた場所に1人の男が立っていた
耳は尖っており、男の背には漆黒の闇のような蝙蝠に似た羽根、羽根と同じ色の髪は後ろ髪を緩く束ね、その頭からは灰色の対になった小さな角が生えていた
加えて高身長でニヒルに笑う男には、明らかに危険な雰囲気があった
しかし、何故か庵はその男から目を離すことができなかった
‘…綺麗だ……’
男の右目は燃える炎のように赤く、対称的に左目は美しい海のような青なのだ
「よぉナゴミ、またドジったみてぇだな?」
「ナゴミのドジはどうでもいい
こんなとこに君が来た理由はなんだい?」
男を警戒するナゴミはローブから鎌を取り出し、庵を後ろに隠した
モプも鬣を逆立て牙を男に剥けている
「おいおい…俺は別に戦いに来た訳じゃないんだぜ」
どうどうと手のひらを向けながら男は言った
「…ナゴミ、誰なんだ?」
「…彼は悪魔のノワール、
“邪神”と呼ばれている、冥土最強の悪魔だよ…」
ナゴミは男・ノワールの喉元に狙いを定めながら庵に教えた
最初のコメントを投稿しよう!