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成岡 庵は病室にいた
酸素マスク、点滴、医療器具…
庵は意識不明の状態で数時間前にこの病院に運ばれた
医師や看護師達は、はりつめた空気の中で庵の意識が戻るのを待っていた
しかし、当の庵は酸素マスクやらチューブやらが繋がった自分の身体をぼんやり見つめていた
意識不明の自分の身体を見つめるなんて通常あり得ない
しかし庵は確かに自分の身体を見下ろしていた
「意識が身体を離れる現象、幽体離脱…」
庵は天井近くでふよふよと浮きながら、自分の身体を見つめる
すると突然、天井に真っ黒なサークルが現れ、中からボロボロの黒いローブを着た骸骨が現れた
「現世でさ迷う魂よ…
我は死神、さ迷う魂を冥土へ導く者なり…」
骸骨はそう言いながらローブから巨大な鎌を出し、大きく振りかぶり庵に刃の先を向けた
骸骨の顔は感情の変化のない仮面のようだった
「ボクは死んだ…?」
「いかにも、汝は死んだのだ」
「ボクは冥土へ行くの?」
「いかにも」
「冥土へ行くタイミング合ってる?」
「いかに…えっ?」
三度目の質問に答えた骸骨の顔が驚いた表情を見せた
「またドジったのか、このドジ骸骨ッ!!」
「グホホゥ!!」
庵は驚いた骸骨の顔面を拳で殴り飛ばした
殴り飛ばされた骸骨はピクピクと痙攣しながら倒れた
「お前のドジな間違いのせいで、幽体離脱に違和感感じなくなったわッ!
挙げ句いっつもお前ボクを冥土へ連れて行きやがって!!」
動かなくなった骸骨に庵は怒鳴りつけた
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