1,日常の終わり

2/24
前へ
/33ページ
次へ
~~~~~~~~~~~ 成岡 庵は病室にいた 酸素マスク、点滴、医療器具… 庵は意識不明の状態で数時間前にこの病院に運ばれた 医師や看護師達は、はりつめた空気の中で庵の意識が戻るのを待っていた しかし、当の庵は酸素マスクやらチューブやらが繋がった自分の身体をぼんやり見つめていた 意識不明の自分の身体を見つめるなんて通常あり得ない しかし庵は確かに自分の身体を見下ろしていた 「意識が身体を離れる現象、幽体離脱…」 庵は天井近くでふよふよと浮きながら、自分の身体を見つめる すると突然、天井に真っ黒なサークルが現れ、中からボロボロの黒いローブを着た骸骨が現れた 「現世でさ迷う魂よ… 我は死神、さ迷う魂を冥土へ導く者なり…」 骸骨はそう言いながらローブから巨大な鎌を出し、大きく振りかぶり庵に刃の先を向けた 骸骨の顔は感情の変化のない仮面のようだった 「ボクは死んだ…?」 「いかにも、汝は死んだのだ」 「ボクは冥土へ行くの?」 「いかにも」 「冥土へ行くタイミング合ってる?」 「いかに…えっ?」 三度目の質問に答えた骸骨の顔が驚いた表情を見せた 「またドジったのか、このドジ骸骨ッ!!」 「グホホゥ!!」 庵は驚いた骸骨の顔面を拳で殴り飛ばした 殴り飛ばされた骸骨はピクピクと痙攣しながら倒れた 「お前のドジな間違いのせいで、幽体離脱に違和感感じなくなったわッ! 挙げ句いっつもお前ボクを冥土へ連れて行きやがって!!」 動かなくなった骸骨に庵は怒鳴りつけた
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加