1,日常の終わり

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「イテテ…ゴメンよー庵…」 起き上がった骸骨はローブの埃を払いながら鎌をしまった 「いい加減にしてよナゴミ… ボク、君を見ても驚くどころかフツーに殴れるようになったんだけど…」 そう言いながら庵は溜め息をついた 骸骨ことナゴミは、申し訳なさそうにペコペコ頭を下げた この世、現世では、 生き物の寿命の刻限が生まれたときから決まっており、刻限を過ぎると生き物は死ぬ 死ぬと身体から魂が抜け出し、いつまでも現世を漂っている その刻限を過ぎさ迷う魂を魂の行き場である“冥土”へ連れて行くのがこの死神であるナゴミの役割だ 「で、ボクの刻限は間違えてない? 確かボクは100歳超えるんだよね?」 ナゴミは慌ててローブから書類の束を取り出した 「どう?ボクの刻限は?」 「…………………………………」 ナゴミは滝のような汗をかきながら無言で庵と書類を見比べた 「どうなんだこのローブ骸骨ー!?」 「イダダダダダッ!!」 庵はナゴミのこめかみをグリグリした 「言います言います!! 成岡 庵の刻限は118歳、誕生日から1ヶ月8日後です!! また間違えましたゴメンナサイー!!」 ナゴミがそう言うと、庵はナゴミを解放した 「ナゴミ… ボクはまだ15歳だよ?」 「ホンットゴメンナサイ…」 ナゴミは土下座して謝った 死神の役割は魂を冥土へ導くだけでなく、死を招く役割もある 刻限の日に間に合うよう対象に死ぬ出来事を遭遇させ、それで死んだ魂を後日導くのだ 無論ナゴミもそうなのだが…
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