1,日常の終わり

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~~~~ 辺り一面灰色の霧に囲まれた空間 唯一あるのは、白と黒の対になった巨大な扉 庵は先程自分が通って来た白の扉の横にいた 「今は白を通る魂はいないんだね?」 「まぁ現世から見れば、死ぬ人がいなくて幸せかもね」 そう言いながらナゴミは、魔道具の入った木箱を漁っていた この空間は「閻魔の間」 白の扉からは死神達が導いた魂がこの空間に入り、黒の扉を通って冥土へ行くのだ 既に閻魔の間から冥土なのだが、 庵のように間違えられた魂や、生前に悪行を行った悪人の魂を通さない為にこの空間があるらしい 「あったあった」 ナゴミがそう言いながら取り出したのは、不気味な緑色の壺だった 「毎度毎度、なんで甦生の術をかけるのにその気味悪い壺使うの…?」 「これなら死神も気味悪がって甦生の術をかけたがらないからね おかげで、庵以外の魂が生き返ったことはないよ ナゴミはもう慣れたけど」 そう 甦生の術は魂を現世に還し、生き返らせることができる もし刻限に従うべき魂が甦生の術で現世に還れば、冥土と現世は滅んでしまうらしい
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