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「はぁ~あ、なーんでこうなるかねぇ」
落胆の表情で嘆息したのは、先日海に行ってからまた一段と肌を黒く焼き、黒のタンクトップに首からじゃらりとした重量感のありそうなシルバーのアクセサリーを下げた、不良、に見えなくもないナツメの親友の一人である冬吾。
その隣にいるのは、涼しげなチュニックにぴったりとしたレギンスパンツ、抜群のプロポーションに秀麗な顔立ちの、こちらもナツメの親友の一人である秋奈、彼女もまた深刻そうな表情をしていた。
窓の外からは太陽の光が注ぎ、そろそろ聞納めとなりそうな、少し勢いの無くなった蝉の声が聞こえてくる。
が、そんな鬱陶しい鳴き声も気にする事が出来ない程。
二人は沈んだ表情のまま。
目の前の清潔そうなベッドから、パイル生地のルームウェアで包んだ体を半分起き上がらせた状態のナツメを見ていた。
「なんでだよ……、クソ……」
「やっぱ、……納得いかない」
「仕方ないよ二人とも……だって……」
そんな二人に、ナツメは申し訳無さそうに口篭る。
仕方ない。自分だって予想していなかったのだ。
まさかこんなことになるなんて……。
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