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秋奈は知っていた。二週間前からナツメの様子が変わってしまったのを。
そして、変わったと言えば、春一が自分達のクラスにぱったり顔を見せなくなったこともだ。
大体予想はついていた。
何が起こっているのか、秋奈は全てを知らないけれど。
ナツメと春一の間に何かがあったということだけは断言できる。
自分達に相談してこないと言うことは、きっと話すことが出来ないことなんだろうと、彼女は推測していた。
「失恋かよ」
「え……」
「当たりだね」
「それは、……その、失恋とはいえないけど」
「似たようなこと、でしょ。派手な喧嘩でもしたか」
「どうして」
「見てれば大体わかるよ、なに、あたしにも相談出来ないの?」
冬吾はあてになんないけど、あたしもダメ?そう聞くと、ナツメは申し訳なさそうに目を伏せた。
「ごめん……」
「そっか。でもいつまでもそんなんでいたくないでしょ、仲直りは早めにした方が良いよ、春一クンだって……」
「できないよ」
「え?」
「仲直り、できないよ……」
前の時とは状況が違う。
元通りになんて、簡単にできるはずが無い。
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