第二十四幕 チェーンメール 後編

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「冬休みに入る前ぐらいから、なんか学校で変なメールが流行ってて……」 「変なメール……?」 「うん……ねーちゃんは聞いたことないの?」 ちりっと、その時。 頭の隅で蘇りかけた言葉があった。 「それって、なあに、どんなの?」 「気持ち悪いメール、多分、チェーンメールっていうの……だと思う」 「チェーンメールって、昔流行った、あの?」 「うん……でも、内容がすごくおかしいんだ……100人以上に送れって、二十四時間以内に……もし送れなかったら、呪われて、殺される……、首を、斬り取られるんだって……」 時間帯が時間帯である所為か、ナツメもその過激な内容を聞いて身震いせずにはいられなかった。 だが、冷静に考えてみる。 ひと昔前にだって馬鹿馬鹿しい内容のメールや、それに似た類のものがあったはずだ。 最初の一通を流し始めた人間の気が知れないが、所詮そんなもの、他人を煽るまやかしに過ぎない。 可哀想に、中学生ぐらいならばそんな噂でもまだ怖いと感じてしまうものだ。 「大丈夫だよ。そんなメールきたってほうっておけばいいよ。どうせ作りものなんだから、怖がらなくていいよ蛍」 さあ、ホットミルクを飲んで、寝つきがよくなるから。 それでも眠れなかったら今日は一緒の部屋で寝てもいいし。 と、ナツメが気遣うように肩を叩けば。 「ぼく、だって……最初は、そう思ってた……そんなの、作り話だって」 蛍は体を前のめりにさせ、膝の中に顔を埋めた。 「蛍……大丈夫?」 「そしたら、ほんとうに死んじゃったんだ」 「……誰が」 「友達のねーちゃんが……」
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