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「冬休みに入る前ぐらいから、なんか学校で変なメールが流行ってて……」
「変なメール……?」
「うん……ねーちゃんは聞いたことないの?」
ちりっと、その時。
頭の隅で蘇りかけた言葉があった。
「それって、なあに、どんなの?」
「気持ち悪いメール、多分、チェーンメールっていうの……だと思う」
「チェーンメールって、昔流行った、あの?」
「うん……でも、内容がすごくおかしいんだ……100人以上に送れって、二十四時間以内に……もし送れなかったら、呪われて、殺される……、首を、斬り取られるんだって……」
時間帯が時間帯である所為か、ナツメもその過激な内容を聞いて身震いせずにはいられなかった。
だが、冷静に考えてみる。
ひと昔前にだって馬鹿馬鹿しい内容のメールや、それに似た類のものがあったはずだ。
最初の一通を流し始めた人間の気が知れないが、所詮そんなもの、他人を煽るまやかしに過ぎない。
可哀想に、中学生ぐらいならばそんな噂でもまだ怖いと感じてしまうものだ。
「大丈夫だよ。そんなメールきたってほうっておけばいいよ。どうせ作りものなんだから、怖がらなくていいよ蛍」
さあ、ホットミルクを飲んで、寝つきがよくなるから。
それでも眠れなかったら今日は一緒の部屋で寝てもいいし。
と、ナツメが気遣うように肩を叩けば。
「ぼく、だって……最初は、そう思ってた……そんなの、作り話だって」
蛍は体を前のめりにさせ、膝の中に顔を埋めた。
「蛍……大丈夫?」
「そしたら、ほんとうに死んじゃったんだ」
「……誰が」
「友達のねーちゃんが……」
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