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聞けば最近、友人の姉がそのメールを貰って自宅のベランダから転落し、死亡したのだという。
それも肩から上を紛失させた状態で遺体がマンションの下で見つかったらしい。
そんな大事件、近所だというのにナツメは今の今までなにも知らなかった。テレビでだってそんな報道されていなかったはずだ。
「……偶然じゃ、ないの」
聞くと蛍は首を小さく振って応える。
「偶然だって……ぼくだって思いたいよッ……だけどあるんだよ、ネットや噂でだって他に死んじゃった人、何人もいるって……」
「蛍……」
言いながら涙声になっていく蛍を覗き込むと、彼は声を震えさせながら握っていた携帯をこちらに見せる。
「そんなこと絶対ありえないって……噂やネットだってデタラメだって、ぼくも思ってた、……これが――届くまでは」
「…………………………なに……」
見せられた小さな画面、そして小さな文字が連なった文章。
スクロールされ、一枚の添付ファイルに辿り着く。
携帯だけを突き出され、弟の表情も見えぬまま、ナツメはその閉ざされていたファイルのロックをタッチして解いた。
「…………な、――!?」
驚いた、なんて生やさしい衝撃ではなかった。
それがなんなのかという見当がついた時、ナツメは思わず弟の手から携帯をはたき落とし、悲鳴を上げてしまった。
けして大袈裟なんて反応ではなかったはずだ。
そんなものを見たら、誰だって叫ばずにはいられなくなる。
人の死体が、写った写真なんて――。
「なっ、な……に、あれ……あの写真……」
作りもの……。
そうであればどんなにいいか。
いや、そうであってもなくても、悪趣味にも程がある、こんな写真をメールに添付するなんて。
気が狂ってるとしか……。
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