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「ふー……」
あるわけがないと思いながら。きっと自分も地味に信じてしまっていたところがあったのかもしれない。
弟、蛍になにかあったらどうしようと。
母が最後に残してくれた家族だ。
なにがあっても絶対に守らなければ。
そんな心配と責任感故から、メールへの恐れを抱いた。
怖い。こういう思いがあるからこそ、チェーンメールは回り続けてしまうものなのだろう。
そしてその仕組みを理解して、最初の一通目を送る人間がいるのかもしれない。
(ご飯作ろう……)
もうこの件に関しては忘れよう。弟に言ったように、考えていても得なことはない。と、ナツメはソファーから身を起こしてキッチンに向かおうとした。
その時。
握っていた子機が音を立てた。
弟がなにか言い忘れて掛け直してきたのかもしれない。
そう思って再びそれを繋げるナツメ。
「どうしたの――蛍」
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