第十六幕 かごめ唄

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カレンダーに記された八月の残り日数は言わずもがな、極めて乏しいものとなっている。 続けて二人の親友の顔を申し訳なさげに見つめる。 「ナイター行きたかったなぁ」 「ランドもね……」 がっくりと肩を落とす二人。 夏休み最後の一週間、思い出作りに余念が無い三人はラストスパートと言わん限りに残りの数日間ぎっしりと予定を詰めていたのだ。 カラオケ。ボウリング。ナイター。某大型テーマパーク。その他諸々。 ナツメが入院するという予期せぬ事態が起こってしまった為にそれらの計画は全てパー。 楽しみを膨らませていた二人がこんなにも落胆するのも無理はない。 しかし、がっくりと肩を落としているのはナツメも同じ。 患部はまだ痛むが、それだけで体のしんどさは無いし、元気は有り余るほどある。 だというのに、このまま暇を持て余し、さして食欲をそそらない病院食を胃の中に押し込みながら、夏休み最後の貴重な一週間を病院の狭いベットの上で虚しく過ごすなんて。 運が悪いというか、なんというか。
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