-プロローグ-

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  1人の少女が死んだ。 自宅の自室で、リストカットによる出血死。 発見された時には、もう手遅れだった。 ベットの上に仰向けになっていた。 右手首の出血さえなければ、普通に眠っていると勘違いしそうな、安らかな寝顔。 少女はまだ、中学生だった。 「何でだ……何故なんだ……」 そんな息絶えた少女に、すがり付く男がいた。 二十代後半の若い男だった。 「俺はお前にまだ……お前はまだ……」 男は泣きながら少女へ呟く。 少女と男には、交わされたある約束があった。 ただ1つの約束。 男はその約束のために今まで生きてきたようなものだった。 少女がいなければ、もう果たされても意味のない約束……。 .
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