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いや、それは無いか…。
そこまでマスターと仲がいいわけじゃない。
オレとマスターはあくまで、ただのマスターと客でしかない。
珈琲談議に花を咲かせる事があっても、プライベートな話をするわけじゃいし、話すことがなければ、会話をしない事もしょっちゅうだ。
ぶっちゃけ、オレの身分どころか、お互いの名前すら知らない。
だから、わざわざ待たされる理由もない。
というか、待つのは嫌いだ。
(仕方ない帰ろう…)
そう思い、入口のドアノブに手を掛けた…
その時―――。
「あ、あの…!…ココアで良かったら…飲んで行きません、か?」
菜奈って子の声が、店内に響いた。
まさか呼び止められるなんて、一ミリも考えていなかったから、頭の中が一瞬白くなるほどビックリして
「………え?」
オレは思わず、聞き返してしまっていた。
。
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