encounter

6/7

1081人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
いや、それは無いか…。 そこまでマスターと仲がいいわけじゃない。 オレとマスターはあくまで、ただのマスターと客でしかない。 珈琲談議に花を咲かせる事があっても、プライベートな話をするわけじゃいし、話すことがなければ、会話をしない事もしょっちゅうだ。 ぶっちゃけ、オレの身分どころか、お互いの名前すら知らない。 だから、わざわざ待たされる理由もない。 というか、待つのは嫌いだ。 (仕方ない帰ろう…) そう思い、入口のドアノブに手を掛けた… その時―――。 「あ、あの…!…ココアで良かったら…飲んで行きません、か?」 菜奈って子の声が、店内に響いた。 まさか呼び止められるなんて、一ミリも考えていなかったから、頭の中が一瞬白くなるほどビックリして 「………え?」 オレは思わず、聞き返してしまっていた。 。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1081人が本棚に入れています
本棚に追加