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振り向いて見たカウンターには、何か必死な顔をしている菜奈って子。
どう考えたって、大声を出すようなタイプには見えないし
オレを呼び止めるのに、どれだけの勇気を使ったのだろう。
「あの。菜奈、珈琲はまだ淹れられないけど…、ココアを作るのだけは得意で…」
それくらい必死な顔をしていたから
「そう、なんだ…」
別にココアとか、普段飲んだりしないのに
そんな返事を返しただけで
「はいっ!」
余りにも嬉しそうに、笑うから
「じゃあ、せっかくだし…飲んでいこっかな…」
無意識的に、OKしていまっていた。
(あ、うっかり……)
オレって案外、単純な人間だったんだな(笑)
でも
「良かったぁ」
なんて、本当に嬉しそうに胸をなで下ろしている菜奈って子を見て
たまにはこーゆうのも、いっか…って思ってしまったんだ。
これが…
オレの人生を狂わすほどの出逢いだともしらずに―…
。
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