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「このココア、どうやって作ってんの?」
「え、えーっと…」
さり気なく作り方を聞き出して商品化を検討…なんて、ちょっと悪いけど
もしもの時はちゃんと契約すればいいわけで。
でも。
「……感、ですけど…」
「は?感!?」
「はい!なんかこんな感じでぇ~みたいな?…あ、感覚?」
「いや。違いがわかんないんだけど…」
はい。
期待したオレが馬鹿でした!!
この子の天然、ハンパねぇ―!!
「じゃあ、どうやって作り方覚えたの?」
それはただの、
素朴な疑問だった―…。
だけど菜奈ちゃんはオレの問いかけに一瞬驚いて、その後
「マ、…母のオリジナルなんです…」
と、寂しそうに笑った。
さっきまで、あんなに楽しそうに笑っていたのに…。
聞いちゃ、いけないことだったんだろうか…
例えばその母親が亡くなってる、とか?
「ごめん…」
咄嗟に出たオレの謝罪の言葉を
「いえ。違うんですよ!」
と慌てて否定された。
鈍いくせに、そうゆう事には気が回るんだな。
だけど。
それ以上、菜奈ちゃんは喋らなかった。
静かに笑って…
それはきっと「母が亡くなってるわけじゃないんですよ」という合図の代わり。
。
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