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マスターはクスクスと笑いながら、10分後。
「留守番のご褒美」
だと、菜奈ちゃんにも淹れたての珈琲の入ったカップを手渡す。
AROMAの空気があっという間に、
さっきまでの甘ったるさから、いつものピリっとするくらい緊張感のある珈琲の香りの空間に変わる。
オレも同じくマスターに手渡されたカップに顔を近づけて香りを軽く吸ってから
口を付けた。
「ん?何だこれ。美味いけど超クセある」
マスターは「ほんとだな~」なんて、呑気に答えるけど
菜奈ちゃんは
「にがっ」
と素直に叫んでいた。
確かに苦いし、それが普通の人のリアクションなのかもしれないけど、
少しオーバーすぎるその様子が気になって
「もしかして、菜奈ちゃん…珈琲苦手なんじゃ…」
と、半信半疑に尋ねると
微かに戸惑ってから
「……はい」
恥ずかしそうに、菜奈ちゃんは頷いた。
。
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