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「どうしたの悠、具合悪そうだけど…」
社長室の応接セットの黒革のソファーの上。
気だるそうに寝転がるオレの姿を見て、黒髪ロングの長身美女が話しかけてくる。
一見モデルのようなその美女は、カツカツとヒールを鳴らしオレに近づくと、至近距離からオレの顔を覗き込んだ。
しかし、いくら美人でも“迷惑”だという例外もある。
「頼むから、社内では社長って呼べよ―…、姉貴…」
「何よ、悠のくせに偉そうに…」
そう。いつも自信たっぷりで、ただのお節介な実姉の場合、だ。
「オレは社長で、姉貴は副社長。オレの方が偉いの!!」
「はいはい」
と言いながらも、姉貴に反省の色は全然見えない。
役職はオレの方が偉いとはいえ、五歳も上の姉貴のパワーは半端ない。
他の社員の前ではちゃんとオレを立ててくれるものの、誰も見てない時はすぐにこんな感じだ。
つうか、こんな姉貴の説明なんか今はどうでもいいから、マジでほっといて欲しい。
そもそも今のオレに、姉貴の相手をしている余裕なんて、これっぽちもないんだっつーの(泣)
………まいった。
まさか夢にまで見るなんて…。
ん?何を?って??
そんなの決まってんだろ。
こないだ出逢った、菜奈を、だよ。
。
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