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「ありえねぇ―…」
「悠、何か言った?」
「うるせぇよ。てか会社では社長って、呼べっ!!」
初めて逢ったあの日から、オレと菜奈は既に何回か顔を合わせていた。
もちろん、あの喫茶AROMAで。
つーか、妹的なもんだと思ってたのに―…、これじゃあまるで
「好きみたいじゃねぇか―…」
「悠、何か言った?」
「だから、いちいちうるせぇっつーの!!もう出てけっ!!」
はいはい。とまた適当な相槌を打ちながら、姉貴はオレのデスクの上から必要な書類だけをピックアップしていく。
「まったく、そんなに偉そうにしてると、部下はついてこないわよ?」
書類を抱え部屋を出ていこうとする時さえ、こんな事を言ってくるんだから、本当に姉貴はお節介だ。
「そんなの臨機応変にやるに決まってるだろ?オレを誰だと思ってるんだよ」
北澤グループの長男だぞ?
そこまで言おうとして、止めた。
役職や立場は違えど、それは姉貴もきっと同じだったから。
そうだ。オレは。
生まれた時から、社長になる為に生きてきた。
あぁ。ちょっと違うか。
きっとオレは、社長になる為だけに、生まれて来たんだ。
。
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