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いつも通りAROMAに行くならば、もうそろそろ会社を出なければならない。
出なければならない…のに、体がソファーから動かない。
いや、動くのを躊躇っている…という方が正確か。
今のオレは少し、菜奈に会うのが怖いんだ。
会えば会うほど菜奈に惹かれている事を、
もうとっくに気が付いているから―…。
カランコロン…。
気が付いたら聞きなれた寂れたドアの鐘が鳴っていた。
「結局来てるし…」
AROMAに入った瞬間、溜息と愚痴が一緒に零れる。
「いらっしゃいませっ」
そんなオレの前に、平然と現れる彼女は、天使なのか悪魔なのか…。
「いつもより10分遅れですよ?」
なんて、無邪気な笑顔を振りまくんだから、質が悪い。
。
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