中間テストと指名依頼

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と。 《ほう?問答無用で討伐するかと思いきや、我等を傷付けずに引っ越させる気とは。その気配のけし方と言い、何者だ?》 洞窟の入口にスッと現れた小さなドラゴンと共に念話が届く。 わ、バレてるし話を聞かれてたか。 が、僕が答える前に僕達のローブを見たドラゴンは、キュ!?と驚いた様に実際の声を出した。 なんだ、可愛いな。 《あー、成る程、虹王様の主様であったか》 どうやら僕を知っている様だ。 「貴方はこの群れのリーダーですか?」 それなら話は早いかもと思うと、違う、と返ってきた。 ん? 《我は我の一族の者が縄張りを奪われ移動した先で、人間に危害を加えていると聞き、迎えに来たのだ》 あ、龍国の住民?なら知られてても不思議は無いのか。 「そうでしたか。彼等の元々の住処は何処だったのかご存知ですか?」 《此処よりもう少し南の山の中腹の洞窟と聞いた。だが魔族の者達に追い出されたそうだ。魔族が相手ではな》 「確かに、卵や雛が居たら、守りながら戦うのは厳しいですよね」 《おや、そこまでわかるか》 「ええ、まあ。そうですか、魔族が……追い払ったとして、其処に戻ってももう暮らせないでしょうね」 何をしてるかわからないけど、心地好かった塒は荒らされて、匂いも変えられてしまっているだろう。
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