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そして場面は5人の冒険に移り。
聖雅の大臣が命を落とす所では悲鳴が上がった。
いやー!とか、死なないでー!とかならまだしも、死ぬ前に付き合ってー!とか、私のキスで生き返らせるわ!とか。
ふざけるなよ。
そんなイラッとした僕の頭を、ハンナが撫でる。
「聖雅、格好良いから仕方無い。でも、もう戻ってくるから」
と、舞台から捌けてきた聖雅が僕を見付けて駆け寄ってきた。
「お疲れ」
「お疲れー」
ハンナに続けて言うと、聖雅がキョトンとする。
「何でハンナに撫でられてるんだ?」
「聖雅がモテて、やきもち」
ハンナがあっさりバラすから、顔が赤くなる。
「っ!そんなの気にする事無い。俺はカノンだけだから」
その言葉に益々赤くなる。
うー、恥ずかしい。
「続きは、終わってから」
ハンナに諭されて、ゴメン、と謝れば、素直で羨ましい、と微笑まれた。
「ハンナも素直になれるよ」
今度は僕がハンナを撫でた。
そして僕の出番。
よし、僕は威厳があるけど暴君では無い優しい王様だ。
深呼吸してライトの中に出ていく。
眩しくて観客は見えないが、所々から息を飲む音が聞こえた。
あ、父さまを知ってる人かな?
と、直ぐに黄色い歓声が上がった。
うわ、煩いっ!
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