2469人が本棚に入れています
本棚に追加
/1646ページ
「さ、僕達は他のクラスを覗きながら中庭に向かおうか」
カノンに言われて、ああ、と腕を出す。
ベストカップルコンテストに出るなら腕を組んで歩いても良いよな?
カノンはちょっと頬を赤らめながらも、俺の腕に自分の腕を絡めた。
ああ、可愛い……。
こんな可愛いカノンを人目に触れさせるのは、本当は嫌なんだけどな。
現にチラチラ視線を感じる。
鼻の下を伸ばした男共の。
勿論俺はそいつ等を睨み付けてるから、話し掛けては来ないがな!
Aクラスの前を通ると、フワッと甘い匂い。
見ればクレープを売っていた。
「あ、美味しそう」
すると前に魔武器の訓練の授業で話をしていた男子生徒が声を掛けてきた。
「美味しいですよ!いかがですか?」
「あ、トミーだ。トレムは元気?」
「へ?」
トミーと呼ばれたそいつは、ポカンとする。
「えっと、どうして俺の名前と父を知ってるのかな?」
「やだなぁ、僕だよ。カノンだよ」
訝し気に尋ねるトミーにクスリと笑いカノンが答えると、凄く吃驚するそいつ。
「はっ!?カノン!?え、髪型でこんなに変わるの?気が付かなかったよ?可愛いね!」
「これからカップルコンテストに出る事になってねー、だから」
そこで俺と腕を組んでる事に気付いたのか、恋人って本当だったんだ、と、そいつは呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!