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「付き添いは初めての事で、カノンの居るチームなら心強いだろうと、マスターの配慮でお世話になる事になりました」
トレムさんの言葉にデル達は、え?と不安そうな顔になるが。
「そんな顔をしなくても、あの狭い遺跡の中で無数のトラップや魔物の群れを相手にしてる人なんだから、大丈夫だよ」
そう言うと、あ、と納得して頷いた。
「さて、移動ですが、場所はわかってますか?」
クスッと笑ったトレムさんは、気を悪くした風も無く、依頼の話に移る。
今日は学生が相手だからか、緊張を解そうとしてるのか、随分とフランクな感じだ。
「ええと、『月見が原』……たしか東の町の近くの草原ですよね」
ロッソが答えると、トレムさんは頷いて。
「此処から行くと普通は片道一日半掛かります。身体強化して走れば1日で着くかと思いますが……どうしますか?その後の依頼もありますし、初めてですから普通に歩く事をお奨めしますが」
そう言った。
ま、僕は転移で行けるけどね。
これは魔闘祭でのサバイバルの練習でもあるから、口が裂けても言えないよな。
「あー、だから野宿が出来る用意をしろって事だったのか。走ったら疲れて、夜に見張りが出来ないからな。歩く方が良い」
デルは野宿の経験があるのか、皆の顔を見て言う。
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