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暫くはそんな風に楽し気に街道を歩き、そろそろ昼食にしようか、とデルが止まった。
街道脇の原っぱで、皆で円になり座る。
昼食はそれぞれが自分で用意したお弁当を食べるのだが、当然、誰もトレムさんの分は用意して無い様だ。
トレムさんも当然の様に、現地調達してくるので食べていて下さい、と言って立ち上がった。
それを止めて、僕はボックスから自分の分と一緒に、付き添いの隊員用にと用意したお弁当を取り出し渡す。
「簡単にサンドイッチなんだけど、付き添いの方用に作ったので、良かったらどうぞ」
するとトレムさんは驚いて、笑顔で受け取ってくれた。
皆は、付き添いの人の食事にまで気がまわらなかった事に恥ずかしそうにしている。
「流石はカノンだなぁ、用意が良いや」
デルが言うから、次にこう言う付き添いがつく時は、誰が用意するか決めないとね、と返すと。
デルやロッソ、レベッカが頷くが、シルビアとクランは、料理は苦手、と腕でバツを作る。
と、ベックが、先に教えておいてくれれば良いのに、と文句を言う。
僕は何かを言うのも面倒になって、スルーしてサンドイッチを頬張った。
「先に教えて貰えないと、と他人を責める様では、これから先、大人になって困りますよ?学生の内にどんどん失敗をして覚えて、臨機応変に対処する術を身につけていって下さい」
トレムさんが優しく諭すと、ベックは顔を赤くして黙った。
大人に言われれば素直に受け入れられるのかねー。
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