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そして轍の跡が微かに残る荒野に出た。
見晴らしが良い分、強い魔物から隠れられる場所も無い。
遠くの方に木が数本見えるだけで、本当に何も無い。
その状況をわかってる者には、危険を感じて走り抜けたくなる場所だ。
「わ、方角、わらかなくなりそう」
シルビアがげんなりして言うと、デルが大丈夫だと安心させる。
「親父から、方角を知る方法は教わってる」
そして荒野に踏み出して行く。
皆はそれに続いて歩き出した。
何も無い荒野で方角を知る方法は、太陽の位置や月や星の位置を目印に、と言うのが一般的だ。
他には、感知が出来れば村など多人数の魔力がある場所を目印にする。
が、これは広範囲での感知が出来ないと無理だ。
デルはどんな方法を教わったのか。
方角を違える事なく進む彼に、後で聞いてみようかな、と思う。
暫く歩くと、大分日が落ちて来た。
が、まだ休む気配がないのでデルに声を掛ける。
「どの辺りで野営しようと考えてる?完全に日が落ちる前に拠点を決めて準備をした方が良いよ」
早く荒野を抜けたいのか、少しでも前に進みたいらしく、皆は、えっ?と言う顔で僕を見る。
するとトレムさんも、完全に暗くなってしまうと設営が大変ですよ、と言ってくれた。
すると立ち止まる皆。
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