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「あの数本の低木の所。あんな所でもあの群れが此方に到達するのは数十秒だから、気を抜けない」
思わず何時もの口調になるが、指した場所を凝視するトレムさんは気にした風も無い。
ま、皆の手前、丁寧な言葉遣いを心掛けたけど、マロウとのやり取りで素はバレてるから今更か。
「あの場所の感知が出来ますか。確かに何かが動いてる様にも見えますね。襲って来たらどうしますか?」
「んー、あれは多分サンドウルフだと思うんだよな。前で戦うのは良いけど、取り零しがジャンプして背後に回ると厄介だよな。けど、今後の彼等の事を考えると結界を張るのは避けたいし」
「前で戦うのは私の仕事ですよ」
真面目な目で言うトレムさんに、あの群れは100ぐらい居るけど、と教えると、顔を引き攣らせた。
「群れの討伐は僕の方が慣れてるから任せてよ。トレムさんには取り零しの始末をお願いしたいかな。後ろに彼等が居るから守りながらになるけど」
そう言うと、わかりました、とトレムさん。
「私も学者を守りながら戦うのは慣れてますから」
「じゃあさっさと食事を済ませよう。僕は非常食で済ませるけど、トレムさんは?僕ので良ければトレムさんのもあるよ」
そう言ってボックスから干し肉とドライフルーツを2人分出す。
それを見てトレムさんは、有り難く戴きます、と笑った。
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